脂質異常症治療薬についてまとめてみました。
国家試験対策や現場での知識としてぜひ参考にしてください。
・作用機序
・薬剤名
・注意点
・副作用
最後まで見ていただくと脂質異常症治療薬について網羅できます!
それでは本題に入ります!
スタチン系
◆作用機序
①HMG-CoA還元酵素を阻害
②肝臓でのコレステロールの合成を阻害
③肝臓内のコレステロールプールが減少
④SREBP-2が活性化され、LDL受容体の合成が促進
⑤肝臓に取り込まれるLDLが増加し、血中LDL減少
◆薬剤
アトルバスタチン(リピトール®)
シンバスタチン(リポバス®)
ピタバスタチン(リバロ®)
プラバスタチン(メバロチン®)
フルバスタチン(ローコール®)
ロスバスタチン(クレストール®)
★スタチンの違い
ストロングスタチン…LDL低下率30~50%
アトルバスタチン(リピトール®)
ピタバスタチン(リバロ®)
ロスバスタチン(クレストール®)
スタンダードスタチン…LDL低下率15~20%
シンバスタチン(リポバス®)
プラバスタチン(メバロチン®)
フルバスタチン(ローコール®)
脂溶性…CYPの影響受けやすい
アトルバスタチン(リピトール®) CYP3A4
シンバスタチン(リポバス®) CYP3A4
ピタバスタチン(リバロ®) CYP2C9
フルバスタチン(ローコール®) CYP2C9
水溶性…CYPの影響受けにくい
プラバスタチン(メバロチン®)
ロスバスタチン(クレストール®)
◆副作用
・横紋筋融解症
→CK上昇、赤褐色尿、脱力感、筋肉痛
・肝機能障害
・グレープフルーツジュース飲用による作用増強
→アトルバスタチン、シンバスタチン
フィブラート系
◆作用機序
①核内受容体であるPPARαを活性化
②肝臓で脂肪酸のβ酸化を亢進
→トリグリセリド合成抑制
血管内のリポ蛋白リパーゼ活性を亢進
→トリグリセリド分解を促進
アポA-ⅠやABCA1の合成を促進
→HDLを増加
③トリグリセリド低下
LDL低下、HDL増加
◆薬剤
ベザフィブラート(ベザトール®)
フェノフィブラート(リピディル®、トライコア®)
ペマフィブラート(パルモディア®)
選択的PPARαモジュレーター
PPAPαの立体構造を変化し、肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節
◆副作用
・横紋筋融解症
→CK上昇、赤褐色尿、脱力感、筋肉痛
・肝機能障害
※腎機能障害のある患者には投与量注意
患者さんに投薬するときは赤褐色尿や脱力感、筋肉痛などの初期症状を伝えておきましょう!
ニコチン酸系
◆作用機序
機序1
①遊離脂肪酸の産生を抑制
→肝臓でのVLDL産生を抑制
トリグリセリドを分解するLPL活性亢進
②トリグリセリド低下
機序2
①アポA-Ⅰの分解を抑制
→HDLコレステロール増加
◆薬剤
ニコモール(コレキサミン®)
ニセリトロール(ペリシット®)
トコフェロール(ユベラN®)
◆副作用
・顔面紅潮
・熱感
・頭痛
・掻痒
→ニコモール、ニセリトロールによる
血管拡張作用
※食後に服用すると生じにくくなる
・透析患者における血小板減少
→ニセリトロール
EPA製剤
◆作用機序
①肝臓でVLDL合成・分泌を抑制
②トリグリセリド低下
その他の作用
・血小板凝集抑制作用
・動脈の弾力性保持作用
◆薬剤
イコサペント酸エチル(エパデール®)
※閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善に適応あり
オメガ‐3脂肪酸エチル(ロドリガ®)
→EPA・DHA製剤
◆注意
・噛まずに服用
→カプセル内の油成分が出てしまう
・食直後に服用
→空腹時摂取により効果減弱
◆副作用
・出血傾向
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
◆作用機序
①コレステロールトランスポーターであるNPC1L1と結合
②食事及び胆汁中のコレステロール吸収を阻害
③肝臓内のコレステロールプールが減少
④LDL受容体の合成が亢進
⑤肝臓に取り込まれるLDLが増加し、血中LDL減少
◆薬剤
エゼチミブ(ゼチーア®)
※スタチンを倍量するよりエゼチミブと併用する方が良好なLDL低下効果を発揮
◆副作用
・消化器症状
・肝機能障害
・横紋筋融解症
※単独使用では副作用少なく安全性が高い
陰イオン交換樹脂
◆作用機序
①腸管内で胆汁酸と結合し、コレステロールとのミセル形成抑制
②胆汁酸とコレステロールの再吸収抑制
③肝臓へのコレステロールが減少し、胆汁酸合成を促進
④肝臓内のコレステロールプールが減少
⑤LDL受容体の合成が亢進
⑥肝臓に取り込まれるLDLが増加し、血中LDL減少
◆薬剤
コレスチミド(コレバイン®)
コレスチラミン(クエストラン®)
※レフルノミドの活性代謝物の体内からの除去に対して適応あり
◆注意
コレスチミド
温水での服用で膨張→水又は冷水で服用
◆副作用
・便秘や腹部膨満感などの消化器症状
・腸閉塞
・脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)の吸収阻害
プロブコール
◆作用機序
機序1
①コレステロールの胆汁への異化排泄促進
LDLコレステロール取り込み促進
※LDL受容体介さず
②血中LDL低下
機序2
①LDLに対する抗酸化作用
②血管壁へのコレステロール沈着を防ぐ
③動脈硬化を抑制
◆薬剤
プロブコール(ロレルコ®、シンレスタール®)
※黄色腫に対して適応あり
腱や眼瞼、皮膚などの黄色腫に対して退縮効果
◆副作用
・QT延長(心室性不整脈)
・HDLコレステロール低下
→フィブラート系との併用による
PCSK9阻害薬
◆作用機序
①肝臓LDL受容体の分解に関わるPCSK9に結合
PCSK9…プロ蛋白転換酵素サブチリン/ケキシン9型
②LDL受容体へのPCSK9の結合を阻害
③肝細胞へのLDLコレステロールの取り込み促進
④血中LDL低下
◆薬剤
エボロクマブ(レパーサ®皮下注)
アリロクマブ(プラルエント®皮下注)
※心血管イベントのリスクが高い
スタチン系で効果不十分な場合に使用
◆副作用
・注射部位反応→発赤、紅斑、腫脹
・糖尿病
・肝機能異常
・CK上昇
MTP阻害薬
◆作用機序
①小胞体内腔に存在するMTPに直接結合
MTP…ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質
②トリグリセリドとアポBを含むリポタンパク質の転送を阻害
③肝細胞でのVLDLや小腸細胞でのカイロミクロン形成を阻害
④VLDLの肝臓からの分泌が低下
⑤血中LDL低下
◆薬剤
ロミタピド(ジャクスタピッド®)
※他の経口脂質低下薬で効果不十分又は忍容性が不良な場合に使用
◆副作用
・消化器症状
→下痢、腹部不快感
悪心、嘔吐、消化不良
・肝機能異常
・添付文書
・インタビューホーム
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