排尿障害治療薬についてまとめてみました。
国家試験対策や現場での知識としてぜひ参考にしてください。
・作用機序
・薬剤名
・適応
・注意
・副作用
最後まで見ていただくと排尿障害治療薬について網羅できます。
それでは本題に入ります!
アセチルコリン受容体刺激薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①アセチルコリン様作用
②膀胱の排尿筋収縮力を増強
◆薬剤
ベタネコール(ベサコリン®)
◆適応
手術後、分娩後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難
◆副作用
・悪心・嘔吐
・胸やけ
・唾液分泌過多
・腹痛
・下痢
・発汗
・顔面紅潮
※コリン作動性クリーゼ
→上記症状や徐脈、血圧低下、縮瞳など
対処:アトロピン(0.5~1mg)投与
コリンエステラーゼ阻害薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①コリンエステラーゼ阻害
②アセチルコリンの分解抑制
③排尿筋収縮力を増強
◆薬剤
ジスチグミン(ウブレチド®)
◆適応
手術後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難
◆注意
毒薬→鍵のかかる場所に保管
◆副作用
・悪心嘔吐
・腹痛
・下痢
・発汗
※コリン作動性クリーゼ
→上記症状や徐脈、血圧低下、縮瞳など
対処:アトロピン(0.5~1mg)投与
α1受容体遮断薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①α1受容体遮断
②前立腺の平滑筋弛緩
③膀胱出口部抵抗を減弱
◆薬剤
α1A受容体選択性あり
シロドシン(ユリーフ®)
タムスロシン(ハルナール®)
ナフトピジル(フリバス®)
◆適応
前立腺肥大症に伴う排尿障害
◆薬剤
α1A受容体選択性なし
ウラピジル(エブランチル®)
テラゾシン(バソメット®、ハイトラシン®)
プラゾシン(ミニプレス®)
◆適応
前立腺肥大症に伴う排尿障害
高血圧症
※ウラピジル
神経因性膀胱に伴う排尿困難にも適応
◆副作用
・起立性低血圧
・めまい
PDE5阻害薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①PDE5阻害
②サイクリックGMPの分解阻害
③前立腺や膀胱平滑筋、下部尿路血管のcGMP上昇
④一酸化窒素(NO)の作用増強
⑤膀胱出口部抵抗を減弱
◆薬剤
タダラフィル(ザルティア®)
◆適応
前立腺肥大症に伴う排尿障害
◆注意
併用禁忌
・硝酸剤、NO供与剤
(ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、ニコランジル)
・sGC刺激剤(リオシグアト)
◆副作用
・動悸
・ほてり
・潮紅
・頭痛
・消化不良
抗アンドロゲン薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①前立腺に対する男性ホルモンの作用抑制
②前立腺容積を減少
③下部尿路閉塞を改善
◆薬剤
クロルマジノン(プロスタール®)
アリルエストレノール(ペリアス®)
ゲストノロン(デポスタット®注)
◆適応
前立腺肥大症
◆副作用
・肝機能障害
・浮腫
・体重増加
・胃部不快感
・女性化乳房
5α還元酵素阻害薬
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
①5α還元酵素阻害
②ジヒドロテストステロンを抑制
③前立腺を縮小
④下部尿路閉塞を改善
◆薬剤
デュタステリド(アボルブ®)
◆適応
前立腺肥大症
◆注意
女性、小児に禁忌
◆副作用
・肝機能障害
・勃起不全
・乳房障害
植物製剤
◆作用機序
尿排出障害に対する治療
・前立腺の炎症を改善
・尿道抵抗を低下、膀胱平滑筋の緊張を高め尿排出を促進
◆薬剤
オオウメガサソウエキス・ハコヤナギエキス(エビプロスタット®)
グルタミン酸・アラニン・グリシン(パラプロスト®)
セルニチンポーレンエキス(セルニルトン®)
◆副作用
・悪心
・食欲不振
・胃部不快感
・腹痛
抗コリン薬
◆作用機序
蓄尿障害に対する治療
①ムスカリン性アセチルコリン受容体(M3)遮断
②膀胱平滑筋収縮抑制
※オキシブチニン、プロピベリン
Ca拮抗作用による直接的な膀胱平滑筋弛緩もあり
◆薬剤
イミダフェナシン(ウリトス®、ステーブラ®)
オキシブチニン(ポラリス®)
ソリフェナシン(ベシケア®)
トルテロジン(デトルシトール®)
フェソテロジン(トビエース®)
プロピベリン(バップフォー®)
◆適応
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
オキシブチニン
・神経因性膀胱、不安定膀胱(無抑制収縮を伴う過緊張性膀胱状態)おける頻尿、尿意切迫感、尿失禁にも適応
プロピベリン
・神経因性膀胱、神経性頻尿、不安定膀胱、膀胱刺激状態(慢性膀胱炎、慢性前立腺炎)における頻尿、尿失禁にも適応
◆注意
尿閉、腸閉塞、閉塞隅角緑内障
重症筋無力症、重篤な心疾患に禁忌
◆副作用
・口喝
・便秘
・排尿困難
平滑筋直接弛緩薬
◆作用機序
蓄尿障害に対する治療
①Ca拮抗作用、PDE阻害
②膀胱平滑筋弛緩
◆薬剤
フラボキサート(ブラダロン®)
◆適応
神経性頻尿、慢性前立腺炎、慢性膀胱炎に伴う頻尿、残尿感
◆注意
下部尿路閉塞、消化管閉塞に禁忌
◆副作用
・口喝
・便秘
・胃腸障害
β3受容体刺激薬
◆作用機序
蓄尿障害に対する治療
①β3受容体を刺激
②膀胱平滑筋弛緩促進
◆薬剤
ミラベグロン(ベタニス®)
ビベグロン(ベオーバ®)
◆適応
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
◆注意
ミラベグロン(禁忌)
重篤な心疾患、妊婦、重度の肝機能障害
フレカイニド、プロパフェノン投与中
◆副作用
・便秘
・口喝
・肝機能異常
β受容体刺激薬
◆作用機序
蓄尿障害に対する治療
①β2受容体刺激
②外尿道括約筋収縮
◆薬剤
クレンブテロール(スピロペント®)
◆適応
腹圧性尿失禁
◆注意
下部尿路閉塞に禁忌
◆副作用
・振戦
・動悸
・頭痛
・悪心
・発疹
脳下垂体ホルモン剤
◆作用機序
①腎集合管細胞のV2受容体を活性化
②水再吸収を促進
③抗利尿作用
◆薬剤
デスモプレシン(ミニリンメルト®)
◆適応
尿浸透圧の低下あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症
◆副作用
・低Na血症(水中毒)
・頭痛
・腹痛
・口喝
・添付文書
・インタビューホーム
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